余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
☆☆☆

外はそれほど暑くなか会ったものの、ファミレスの中に入ると涼しくてホッと息を吐き出した。


先程出会ったばかりの男子ふたりと4人席に座るのはなんだか妙な気分だったけれど、希と大樹はすっかり盛り上がってしまっている。


「萌、なに頼む?」


「少しお腹すいたなぁ。サンドイッチでも食べようかな?」


軽食メニューを見ていると前の席に座っていた大樹が身を乗り出してきた。


急に距離が近くなって萌の心臓がドクンッと跳ねる。


大樹はスポーツ科だと言っていたけれど、隣にいる友人にくらべると随分と色が白い。


髪の色も目の色も少し灰色っぽく見えるから、もともと色素が薄いほうなのかもしれない。


顔立ちもとても整っていて、目は少し大きくて可愛らしい。


サラサラの髪の毛が窓から差し込む光で天使の輪を作っている。


まるで女の子みたいに可愛い人……。


萌はついそんなことを心の中で思ってしまう。


そんな気持ちが表に出てしまっていたのか、希が「こいつ、女っぽいのは見た目だけだから、騙されないようにね?」と制してきた。


「騙すってなんだよ。俺誰も騙してないだろ?」
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