余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
☆☆☆

検査があったせいで萌が学校に投稿できたのは昼からだった。


こうしてあ当たり前のように学校へ来ることができるのが、心の底から嬉しいと感じラられる。


「おはよう希!」


「おはよ」


元気な挨拶に対して希は冷たい返事をして、すぐに視線をそむけてしまった。


希の態度はあいかわらずで、会話することも難しい状態だ。


だけど、このまま体調が回復していけば無理に自分の病気について説明する必要はなくなるはずだった。


萌はそうなることを信じて疑わなかった。


「あのさ」


自分の席に座ったときに、今度は希から声をかけられて思わず笑顔になった。


希から声をかけてくれるなんて久しぶりのことだった。


「どうしたの?」


身を乗り出すようにして聞くと、希は一歩後ずさりをした。


そして少し気まずそうな様子で「体調、どうなの?」と、ぶっきらぼうに質問をする。


「それならもう大丈夫だよ! こんなに元気だから!」


そう言って力こぶを作ってみせると、希は安心したように頷いた。


その表情にはまあだ笑顔はないけれど、萌のことを心配してくれていたことはちゃんと理解できて、嬉しくなった。


「それならよかった」


希はまたぶっきらぼうにいい、自分の席へ戻っていったのだった。
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