余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
☆☆☆

この日萌が受けた授業はたった2時間だけだったけれど、心はとても充実していた。


ぎくしゃくしていた希と少しでも会話ができたことが大きかった。


「萌、気をつけて帰ってね」


心配してくれている友人たちに手を降り、教室を出る。


みんなはこれから部活動やアルバイトなどでまだまだ忙しい時間を過ごすが、萌はまっすぐに帰って絵の続きを描くことになっている。


今日はとても気分がいいから、筆の進みもよさそうだ。


でも、その前にやることがあった。


萌にとってとても重要なことだ。


早足で校舎裏へ向かうと大樹はすでに到着していて、スマホを見つめていた。


「大樹!」


声をかけて駆け寄ると、大樹は笑顔になってスマホをポケットにしまった。


「萌、もうすっかりいいのか?」


「うん」


頷き、見つめ合うとテレてしまってまたうつむいた。
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