余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
それがどんどんカラフルで大きな一枚絵になっていく感じだ。


萌は絵の具の準備をしてキャンバスの前に座った。


こうして準備をすると自然と背筋が伸びる。


大好きな絵に向き合っていると、時間はあっという間に過ぎていく。


大きなキャンバスには沢山の生き物や乗り物、建物がすでに書き込まれていた。


でも、肝心な中央はぽっかりと空白が開いているばかりだ。


どうしてもここに置くものがなんなのかつかめないでいた。


だけど今日それがわかった。


勇気を出して放課後大樹を呼び出したからこそ、ここになにが必要だったの理解できた。


「よしっ!」


萌は気合を入れて真剣にキャンバスへ筆を運ぶのだった。
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