余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
「どうかなぁ?」


希の挑発するような言葉に大樹ははあからさまに顔をしかめる。


だけど本気で気分を悪くしている様子はなくて、ふたりの付き合いの長さを感じさせた。


「あの、キミはどうする?」


萌はさっきから無言でメニューを見ている大樹の友人へと話しかけた。


「僕はなんでもいいよ」


もともとおとなしい性格をしているのか、萌に話しかけられて少し居心地が悪そうに身じろぎをした。


あ、もしかしてそっとしておいてほしかったかな?


会話に加わったほうが楽しいかと思ったんだけど。


「お前は今日も無愛想だなぁ。まぁ、そこがクールっぽくてカッコイイとか言われてるんだけどさ」


大樹がフォローに入って、友達の方もようやく笑顔が見えた。


女の子みたいに可愛い顔をしているけれど、ちゃんと周りのことが見えてる人なんだ。


萌はつい大樹のことを目で追いかけてしまう。


そんな萌のことを希は少し不安そうな表情で見つめていたのだった。
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