余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
☆☆☆

翌日も萌の体調はとても良かった。


自分が病気だなんて忘れてしまうくらいに調子がよくて、朝ごはんはおかわりまでした。


「萌、お母さんパートを時短にしてもらったの。だから今日も午前中で帰ってくるからね」


仕事へ向かう支度をしながら母親がそう言ってきた。


「そうなんだ」


それは間違いなく萌の体を気にしてのことだった。


たったひとり家族が大病にかかるだけで、いろいろな人に迷惑がかかる。


パート先の人だって急に人数が減って困っているかもしれない。


そう思うと胸の奥が痛んだけれど、どうにか顔には出さないように気をつけた。


これ以上みんなに迷惑をかけないように、しっかりしなきゃ。


そんな思いで萌は今日も学校へ向かった。
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