余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
☆☆☆

約束通り夕方になってから大樹は家にやってきた。


以前病院についてきてくれたときに家の場所を説明していたので、迷うこと無くたどり着いたようだ。


「元気そうだな。よかった」


玄関先に出てきた萌の顔色を確認して大樹は安心したように呟いた。


「そんなに心配しなくていいのに」


萌の言葉を聞きながら大樹はその体を抱きしめていた。


強く抱きしめるとすぐに折れてしまいそうなくらい細い。


萌自身は気がついていないようだけれど、出会ったときよりも痩せているようだった。


「心配だよ。俺の大好きな人なんだから」


そんな言葉を恥ずかしげもなく言う大樹に、萌の顔は真っ赤に染まる。


「それなら、私はもっともっと元気にならなきゃね」


誰にも迷惑をかけないよう。


心配されないようにしなきゃいけない。


少なくとも、病気になる前と同じにならないといけない。


「それじゃ、おまじないをしてやろう」


「おまじない?」


首をかしげた萌の唇に大樹は軽くキスをした。
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