余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
☆☆☆

「じゃ、また学校で」


ファミレスを出て男子たちと分かれると、萌はホッと息を吐き出した。


「大丈夫？　少し疲れた？」


「ううん、大丈夫だよ。あんまり男子と会話したことないからちょっと緊張しただけ」


だけど大樹たちとの会話は楽しかった。


スポーツ科に友人はいないから、どんな授業を受けているのか色々と教えてもらったのだ。


「萌は今のままでいいよ。そのままが可愛いから」


希はそう言って歩き出す。


萌は慌ててその後を追いかけた。


「それってどういう意味？」


「そのままの意味だよ」


希の言葉はわからなくて、首をかしげる。


しかしすぐに萌の意識はカバンの中に入っているスマホへと向いていった。


『番号交換しようか』


運ばれてきた軽食を食べているときにそう言ってくれたのは大樹の方だった。
< 8 / 274 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop