余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
☆☆☆

我慢していればすぐに終わるだろうと思っていたクラスメートからの冷たい態度は、数日経過しても続いていた。


イジメに発展することもなく、ただただ萌はいない人間として無視されるばかりだ。


それでも学校へ行こうと思えるのは、はやり学校という場所が好きだから。


それに、最近では休憩時間になると大樹が教室へやってきてくれるようになっていたからだった。


「よぉ萌」


最初大樹が教室へ来たときにはちょっとした騒ぎになった。


女子たちが「なんで?」「嘘でしょ」と騒ぐ中、大樹は平然とした表情で萌に近づいてきた。


「どうしたの大樹」


「暇だったから遊びにきた」


そう言って笑う大樹は無邪気で、本当の理由を聞きそびれてしまあった。


ただ遊びにきたわけではないと、最初のころから萌も感づいていたのだ。


しかし、大樹のこの行動のおかげで萌は休憩中も孤独ではなくなった。


大樹は時々友達の厚を一緒に連れてきて、萌を笑わせてくれる。


クラスメートたちからどれだけ透明人間扱いされても、ふたりの会話につい大きな声で笑ってしまった。


「ねぇ、休憩時間に教室に来るようになったのはどうして?」


ある日の放課後。
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