余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。
☆☆☆

どうしていつもこうなんだろう。


大切な人が泣いていたかもしれないっていうのに、どうしてそれを聞いてあげることもできないんだろう。


萌はまだ夢の中をさまよっていた。


けれども浮かんでくるのは後悔ばかり。


自分にはなにもできない。


人に心配をさせることしかできない。


こんな自分がいつまでも大樹のそばにいてもいいんだろうか。


そんな暗い感情が胸の奥からぐつぐつと絶え間なく湧き上がる。


萌はその感情に抗うことなく、ゆらゆらといつまでも夢の中をさまようのだった。
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