契約婚初夜、冷徹警視正の激愛が溢れて抗えない
 華子さんがその一族の人だったなんて……。道理で品があるはずだ。ということは、目の前にいる彼も当然久世一族のひとりということ。
 大きく目を見開いて驚きつつも、「私……華子さんにお金をせびったりしていません」と否定する私を見て、柊吾さんは小さく頷いた。
「莉乃さんがそういう人間ではないことはもうわかっています」
「……私、もう華子さんに会わない方がいいでしょうか?」
 大事な家族が見知らぬ女と頻繁に出かけていたら不安に思うよね。しかも、ただのおばあさんじゃない。
「今まで通りでいいです。莉乃さんと推し活をしていたお陰で、それまで入退院を繰り返していた祖母がとても元気になりましたから」
 初めて聞く話にショックを受けた。
「華子さん……どこか悪かったんですか?」
 いつも会うとニコニコ笑っていて元気そうなのに。
 でも、言われてみれば、初めて会った時は、上品だけど、あまり覇気がなく弱々しい感じだったかもしれない。
「心臓を少し悪くしていましたが、今はすごく体調がいいようです」
 彼が少し頬を緩めてそんな話をするので安堵する。
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