契約婚初夜、冷徹警視正の激愛が溢れて抗えない
頭がパニックになっていてうまく言葉が出ない。
「僕では不服ですか?」
 彼がちょっと拗ねた顔をするので、慌てて弁解する。
「い、いえ、そんなとんでもない。でも、私の家は名家でもなんでもありませんし、それに……私……脚に大きな傷跡があるんです。見たらみんなが顔を背けるような……。だから、あなたとはとても釣り合わないですよ」
 きっとそれで私と結婚なんて考えなくなる。今までの見合い相手のように去っていくはず――と思ったけれど、彼はまるで私を元気づけるかのようにそっと手に触れてきた。
「正直な方ですね。では、僕の方も包み隠さずお話ししましょう。仕事で重要な任務もあるのに、もう十何回も見合いをさせられてうんざりしているんです。ですから、あなたと結婚して煩わしさから逃れたいのですよ」
 ああ〜、その彫刻のような完璧な顔で毒を吐く斗真さま……いや、柊吾さんも素敵。
「その気持ちわかります! 私も結婚なんてしたくないのに、周囲は私のことを心配して、勝手に見合いを設定して……実は来月も見合いの話があって……」
 興奮気味にそんな話をすれば、彼がゆっくりと微笑んだ。
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