契約婚初夜、冷徹警視正の激愛が溢れて抗えない
あっさり悩みを解決され、呆気に取られる。
「不安……? えーと、あの突然の話ですぐに浮かんでこないです」
 今まで結婚は気が進まなかった。もともと引っ込み思案な性格な上に、小学六年の時に脚の傷跡を同じクラスの男子に見られ、『気持ち悪い』と言われたことがトラウマになって、男性と接するのが怖くなったのだ。
 中学から女子校に通うことにしたのも、男性を避けるため。だけど、やはり年頃とあって恋愛には興味があり、推し活にのめり込んだ。推し活なら疑似恋愛できるし、傷つくことはない。推しに脚の傷跡を見られる心配もないから。
 しかし、二十五歳を過ぎると、家族は私の将来を気にして見合いを勧めるようになった。嫌と言っても押し切られる。
 脚の傷跡がコンプレックスだから見合いをしたくないと断れば、両親はそんなに強く言わなかっただろう。でも、言えるはずがない。両親には度重なる手術で心配をかけたし、怪我をした時に一緒にいた幼馴染も怪我は自分のせいだと思っているので、私が脚のことで悩んでいるのを知ればきっと苦しむ。
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