契約婚初夜、冷徹警視正の激愛が溢れて抗えない
 でも、柊吾さんを前にすると、私が気にしていたことがなんの障害にもならないように思えた。まるで斗真さまを見ているようで、一緒にいても怖くない。むしろ遊園地を楽しむ子供のようにわくわくする。
 だけど、結婚という大事な問題をすぐに決めてしまっていいのだろうか。
 ひとり思案していたら、彼が私の手を優しく握ってきてハッとした。
「そんなに深く考える必要はありません。お互い見合いから解放され、自由に過ごせます。結婚してからも、これまで通り祖母と推し活をしてくださって構いませんよ」
 彼が不意に推し活の話題を持ち出してきたので少し驚いた。
「推し活、続けてもいいんですか?」
 名家の出身なら、家で大人しくしててほしいとか言いそうなのに……。
「ええ。もちろんです。詳しくは知りませんが、祖母は僕に似たアニメのキャラクターにハマっているとか。莉乃さんも祖母と同じ推しだと聞いています」
 推し活に悪い印象は持っていないようなのでホッとする。同僚に推し活の話をするとちょっと引かれるから。

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