契約婚初夜、冷徹警視正の激愛が溢れて抗えない
 私の返事を聞いて、彼の口元が綻ぶ。
 その時、彼の目がキラリと光ったように見えた。
「契約成立だ、莉乃」
 セクシーな声で名前を呼ばれ、ゾクッとした。
 なんだか雰囲気がガラリと変わったよう……な?
「え? 柊吾さん?」
 柊吾さんに目を向けると、彼は私に優しく微笑んでいる。
「莉乃と呼んだ方が早く親しくなれるかと思いまして」
 紳士な顔で説明する彼に、「そうですね」とにこやかに返した。
 さっきの悪寒は気のせいだったんだ。名前を呼び捨てにされたから、違和感を覚えただけ。
 ああ、まるでとびきり甘い夢を見ているみたい。斗真さま似の彼と結婚なんて……。
「せっかくだから食事でもしていきましょう。ここのフレンチは美味しいんですよ」
 柊吾さんの誘いに明るく笑って返事をする。
「はい、ぜひ」
 もしかするとこれは本当に夢かもしれない。夢なら覚めないで。
 席を立とうとしたら、椅子に躓いて転びそうになった。
「キャッ!」
「大丈夫ですか?」
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