契約婚初夜、冷徹警視正の激愛が溢れて抗えない
 柊吾さんが素早く動いて私を支える。
「ご、ごめんなさい。ちょっと躓いてしまって」
 苦笑いしながら謝って離れようとしたら、彼が私の手を握って歩きだした。
 大きくてひんやりした手。
 父と幼馴染以外の男性と手を繋ぐのは初めてで、胸がトクンと高鳴る。
 なにこれ? 斗真さまを見てはしゃぐのとはまた違う感じ。
 頭の中でキャーキャー騒いでいるうちに柊吾さんがラウンジの支払いを済ませ、上の階にあるレストランに向かう。
 個室に案内されると、彼が席までエスコートして座らせてくれて、ますますドキドキした。
 こんなお姫さまのような扱いを受けたのは初めてだ。
 向かいの席に座った柊吾さんは店員からメニューを受け取り、私に目を向ける。
「シャンパンにしますか?」
「お酒は少しなら飲めるんですけど、すぐに寝てしまうので、家族や幼馴染から外では飲まないようにと言われてるんです。だからお水でお願いします」
 以前、うちと隣の家族とで温泉旅行に行った時に日本酒を飲んだら、幼馴染の膝の上でぐーすか寝てしまい、みんなにかなり呆れられたのだ。
< 26 / 54 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop