契約婚初夜、冷徹警視正の激愛が溢れて抗えない
「では、シャンパンは結婚後の楽しみにとっておきましょう」
 私の話に彼は微笑し、店員を呼んで食事を注文した。
 色鮮やかで美味しい料理に舌鼓を打ちながら、柊吾さんと華子さんの話題で盛り上がる。もう夢見心地でアルコールを飲んでいないのに身体がふわふわしてきた。
 最後のデザートを食べていたら、柊吾さんのスマホが鳴って彼が申し訳なさそうに席を立った。
「すみません。仕事の呼び出しです。支払いは済んでいるので、莉乃はゆっくりしていってください」
「いえ、私も払います。さっきのラウンジの分だってありますし」
 バッグから財布を出そうとしたら止められた。
「婚約祝いだからいいですよ。莉乃のタクシーも手配してもらいます。送ってあげられなくてすみません」
 なにか事件があったのか、柊吾さんは口早に言ってレストランを後にした。
 休日でも呼び出されるなんて、警察官の日常を垣間見た気がする。
 頑張ってください、柊吾さん。
 私も仕事頑張らなくちゃ。早く家に帰って、図書館のイベント企画を考えよう。
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