契約婚初夜、冷徹警視正の激愛が溢れて抗えない
 眉間にシワを寄せている和也の肩をポンと叩いて安心させようとするが、彼はさらにシワを深めた。
「莉乃、そいつに騙されてるんだよ。恋人がいるなんて聞いたこともなかったのに、一体いつから久世と付き合ってたわけ?」
 久世って……呼び捨て? まだ会ってもいないのに、かなり嫌ってない?
 和也は基本的に私のお見合いに反対のスタンスを取っているせいか、どの見合い相手にも辛辣だ。しかも、私が急に結婚を決めたものだから、『考え直すべきだよ』とうるさく言ってくる。
「え? あの……それは……一カ月くらい前……かな?」
 先週初めて会ったなんて、口が裂けても言えない。
「なんで疑問形?」
 腕を組んでジーッと私を見据える和也を見て、少し狼狽えながら弁解する。
「それは……告白して付き合うって感じじゃなかったし。華子さんの紹介で会って、食事とかするようになって……」
 あ~、それ以上は聞かないで。
 心の中でそう願うが、和也の尋問は続く。
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