契約婚初夜、冷徹警視正の激愛が溢れて抗えない
 身体がゾクゾクしてとっさに声をあげたら、彼が私の耳朶を甘噛みしてきた。
「肌も白いし、すべすべしてて綺麗だな」
 耳元で囁かれ、彼のその甘くて低い声が直接脳に響く。
「そ、そんな感想いりません」
 恥ずかしくてギュッと目を閉じて文句を言うけれど、彼はやめずに続けた。
「胸だって身体は華奢なのに意外とあるんだな」
「だ、だから、言わないで」
 目を閉じていても視線を感じ、腕で胸を隠そうとするも再び彼に阻まれる。
「隠すな。もう全部俺のものなんだから」
 その独占欲剥き出しの発言にハッとして目を開ければ、彼と目が合った。
「全部俺のもの?」
 彼の言葉の真意がわからなくて聞き返すと、当然のように言われた。
「俺の奥さんだろ?」
 この上なく甘い目で言われ、胸に温かいものが込み上げてくる。
「柊吾さん……」
「莉乃。返事は?」
 優しい声で問う彼を見つめ、「はい」と頷いた。
 その声も、その顔も、彼のすべてが愛おしい。
 腹黒くても、紳士じゃなくても……私が欲しいのはこの世でたったひとり。

< 4 / 54 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop