初恋からの卒業


私は、こーちゃんを見つめる。


私は今、十八歳だ。明日で高校も卒業するのだから。いつまでも、初恋を引きずっていてはいけない。

こんな自分からも、卒業しなくちゃ。


「こーちゃん、手紙ありがとう。あと……ごめんね」

「え。環奈、いきなりどうした?」

「えっと、まだお祝いの言葉をこーちゃんに言えてなかったなと思って」


『結婚おめでとう』

たったその一言が、今までずっと言えなくてごめんね。

遅くなってしまったけれど、ちゃんと言わせて欲しい。


「あの、こーちゃん。えっと、絵里さんとの結婚……おめでとう」

「環奈……」


こーちゃんの目が、ほんの少し潤んだように見える。


「ありがとう。やばい。環奈に言ってもらったおめでとうが、今までで一番嬉しいかもしれない」

「えっ、ほんとに!? ていうか、こーちゃん涙ぐんじゃって大袈裟だよ」

「年とったら、涙脆くなってくるんだよ。あと、俺からもありがとう」

「え?」

「八歳の環奈からの手紙」

< 25 / 32 >

この作品をシェア

pagetop