初恋からの卒業
私は、こーちゃんを見つめる。
私は今、十八歳だ。明日で高校も卒業するのだから。いつまでも、初恋を引きずっていてはいけない。
こんな自分からも、卒業しなくちゃ。
「こーちゃん、手紙ありがとう。あと……ごめんね」
「え。環奈、いきなりどうした?」
「えっと、まだお祝いの言葉をこーちゃんに言えてなかったなと思って」
『結婚おめでとう』
たったその一言が、今までずっと言えなくてごめんね。
遅くなってしまったけれど、ちゃんと言わせて欲しい。
「あの、こーちゃん。えっと、絵里さんとの結婚……おめでとう」
「環奈……」
こーちゃんの目が、ほんの少し潤んだように見える。
「ありがとう。やばい。環奈に言ってもらったおめでとうが、今までで一番嬉しいかもしれない」
「えっ、ほんとに!? ていうか、こーちゃん涙ぐんじゃって大袈裟だよ」
「年とったら、涙脆くなってくるんだよ。あと、俺からもありがとう」
「え?」
「八歳の環奈からの手紙」