だから聖女はいなくなった
「庭園を散歩してから、戻る」

 サディアスの言葉に、侍従は頭を下げた。

 日は落ち始め、作り出された影もだいぶ長い。
 この庭園は、よくラティアーナと話をした場所だ。

 風に乗るかのようにして歌声が聞こえてきたような気がした。
 頭を振って、その幻聴を追い払った。
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