だから聖女はいなくなった
「それよりも兄上。兄上にお聞きしたいことがあるのです」
サディアスは少しだけ姿勢をすっと正した。
「どうした? 何があった?」
サディアスの些細な仕草で、キンバリーは敏感に何かを感じ取ったようだ。怪訝そうに眉根を寄せた。
「兄上は、あの孤児院に定期的に寄付をしておりますよね? それは、ラティアーナ様が聖女をおやめになってからも変わりはないですよね?」
「ああ。孤児院の寄付は、王族の義務のようなものだ。ラティアーナはいっさい関係ない。私個人から、いくつか絵本を送ったことはあるが」
「なるほど……。ですが、マザー長は、兄上からの寄付金など、一切、受け取っていないと」
「なんだと? 孤児院も、ラティアーナがいなくなってからがめつくなったものだな」
サディアスは首を横に振る。
「孤児院が貧しいのは事実です。僕がこの目で確認してきました」
サディアスは少しだけ姿勢をすっと正した。
「どうした? 何があった?」
サディアスの些細な仕草で、キンバリーは敏感に何かを感じ取ったようだ。怪訝そうに眉根を寄せた。
「兄上は、あの孤児院に定期的に寄付をしておりますよね? それは、ラティアーナ様が聖女をおやめになってからも変わりはないですよね?」
「ああ。孤児院の寄付は、王族の義務のようなものだ。ラティアーナはいっさい関係ない。私個人から、いくつか絵本を送ったことはあるが」
「なるほど……。ですが、マザー長は、兄上からの寄付金など、一切、受け取っていないと」
「なんだと? 孤児院も、ラティアーナがいなくなってからがめつくなったものだな」
サディアスは首を横に振る。
「孤児院が貧しいのは事実です。僕がこの目で確認してきました」