だから聖女はいなくなった
レオンクル王国のネーニャ地方が大寒波によって大打撃を受けた。この地方に住んでいた者の半分以上が、飢えと寒さで亡くなった。国からも食料の援助を出したが、それも雀の涙程度。王都も食料が不足し、他の地方に回す余裕がなかったのだ。寒波に覆われたのは、王都も同じだった。
それを救ったのが竜と済世の聖女である。
聖女が竜に祈りを捧げ、竜が空を飛び立ち、雪雲を吹き飛ばした。氷ついていた空間が、あたたかさに溢れ始める。
それが竜と済世の聖女による奇跡の瞬間でもあった。
聖女は一人ではその力のすべてを発揮できない。竜と共にある聖女は、竜が国を救うように導かなければならない。それが聖女の役目であり、存在する意義でもある。
済世の聖女は、レオンクル王国を救った後、その姿を消した。
「聖女様がいらっしゃらなければ、今頃、レオンクル王国も存在していなかったでしょう」
サディアスの言葉に、彼女は少しだけ苦しそうに眉をひそめた。彼女の手元も止まっている。
「あの……兄から、ラティアーナ様……ラッティに伝言がありまして」
「なんでしょう?」
「申し訳なかったと、そう言っておりました」
「それは、謝罪ですか?」
「……はい」
「何に対する?」
それを救ったのが竜と済世の聖女である。
聖女が竜に祈りを捧げ、竜が空を飛び立ち、雪雲を吹き飛ばした。氷ついていた空間が、あたたかさに溢れ始める。
それが竜と済世の聖女による奇跡の瞬間でもあった。
聖女は一人ではその力のすべてを発揮できない。竜と共にある聖女は、竜が国を救うように導かなければならない。それが聖女の役目であり、存在する意義でもある。
済世の聖女は、レオンクル王国を救った後、その姿を消した。
「聖女様がいらっしゃらなければ、今頃、レオンクル王国も存在していなかったでしょう」
サディアスの言葉に、彼女は少しだけ苦しそうに眉をひそめた。彼女の手元も止まっている。
「あの……兄から、ラティアーナ様……ラッティに伝言がありまして」
「なんでしょう?」
「申し訳なかったと、そう言っておりました」
「それは、謝罪ですか?」
「……はい」
「何に対する?」