だから聖女はいなくなった
『いえ。今日は、キンバリー殿下とお会いする予定はありませんでした。今日はわたくしの友人となる人物とお会いする予定となっておりましたの』
少しだけ首を傾げて、彼女はにっこりと微笑む。
『ラティアーナ様は、私を友人とお呼びしてくださるのですか?』
『少なくともわたくしは、そう思っておりますが。アイニス様はいかがですか?』
『いえ……恐れ多いです』
恥ずかしくなり顔を伏せる。だが、恥ずかしさの他にも安堵感が込み上げてきた。
義父となったウィンガ侯爵からも、そして実兄であるイーモンからも、聖女の最も近しい存在になれとしつこく何度も何度も強く厳しく言われていたためだ。
聖女に近づけば、自然と王太子との距離も近くなるというのが、二人の考えのようだ。そして、あわよくば聖女からキンバリーを奪えとも思っている二人なのだ。
『アイニス様。これからも仲良くしてくださいますか?』
『はい、ラティアーナ様。これからもどうぞよろしくお願いします。何か困ったことがあれば、どうか私を頼ってください』
『まぁ。心強いお言葉をありがとうございます』
ラティアーナは静かに微笑んだ。
少しだけ首を傾げて、彼女はにっこりと微笑む。
『ラティアーナ様は、私を友人とお呼びしてくださるのですか?』
『少なくともわたくしは、そう思っておりますが。アイニス様はいかがですか?』
『いえ……恐れ多いです』
恥ずかしくなり顔を伏せる。だが、恥ずかしさの他にも安堵感が込み上げてきた。
義父となったウィンガ侯爵からも、そして実兄であるイーモンからも、聖女の最も近しい存在になれとしつこく何度も何度も強く厳しく言われていたためだ。
聖女に近づけば、自然と王太子との距離も近くなるというのが、二人の考えのようだ。そして、あわよくば聖女からキンバリーを奪えとも思っている二人なのだ。
『アイニス様。これからも仲良くしてくださいますか?』
『はい、ラティアーナ様。これからもどうぞよろしくお願いします。何か困ったことがあれば、どうか私を頼ってください』
『まぁ。心強いお言葉をありがとうございます』
ラティアーナは静かに微笑んだ。