だから聖女はいなくなった
むしろ、アイニスと話をしてほしいと言い出したのはキンバリーなのである。
アイニスの様子を確認し、彼女が今、何を考え、どのように思っているのかを探ってほしいと。
「ハンナ。サディアス様にもお茶を」
アイニスが侍女を呼びつけると、表情を変えずにやってきて、義務的にお茶を淹れると立ち去っていく。彼女は昔から王城で働いていた侍女である。
アイニスの下で働くのが不満なのだろう。せめてもう少し愛想よくできないのかと、サディアスでも思う。友人のように親しくしろとは言わないが、自分の立場を理解してもらいたいものだ。
アイニスにとっても少しでも心許せる人物が近くにいれば、ここまでひどい表情を見せないだろうに。
「いい香りのするお茶ですね」
当たり障りのないところから話題を振る。
それでもアイニスは、口角を少しだけあげて、嬉しそうに微笑んだ。
「そうですね。こちらは、隣国のアストロ国のお茶ですの。私の大好きなお茶ですから、準備していただきました」
「アストロ国の……僕は、初めて口にしますね」
アイニスの様子を確認し、彼女が今、何を考え、どのように思っているのかを探ってほしいと。
「ハンナ。サディアス様にもお茶を」
アイニスが侍女を呼びつけると、表情を変えずにやってきて、義務的にお茶を淹れると立ち去っていく。彼女は昔から王城で働いていた侍女である。
アイニスの下で働くのが不満なのだろう。せめてもう少し愛想よくできないのかと、サディアスでも思う。友人のように親しくしろとは言わないが、自分の立場を理解してもらいたいものだ。
アイニスにとっても少しでも心許せる人物が近くにいれば、ここまでひどい表情を見せないだろうに。
「いい香りのするお茶ですね」
当たり障りのないところから話題を振る。
それでもアイニスは、口角を少しだけあげて、嬉しそうに微笑んだ。
「そうですね。こちらは、隣国のアストロ国のお茶ですの。私の大好きなお茶ですから、準備していただきました」
「アストロ国の……僕は、初めて口にしますね」