だから聖女はいなくなった
まして男と女。
きっとサディアスとキンバリーの関係とも異なるのだろう。サディアスはいつだってキンバリーの予備なのだ。サディアスはキンバリーのために存在している。だから今だって、キンバリーのためにアイニスから話を聞いているのだ。
もしかして彼女も、彼女の兄のために存在しているのだろうか。
「私の兄は、頭がよくて。幸いにも、父は兄を学園に通わせておりましたので、兄はそこでもよい成績をおさめていたのです」
レオンクル王国の王都には、貴族子女が通う王立学園がある。昔は、貴族の中でも上流の子息しか通えぬ学園であったが、時代の変化とともにその門戸を広げた。
学園の授業料が支払える者であれば貴族の子でなくとも通えるし、女子学生も受け入れている。
それでもキンバリーとサディアスは学園に通わず、この王城内で家庭教師によって知識を身に付けていたし、ラティアーナに関しては神殿と王城の往復をするくらいで外に出ることすら制限されていた。まして、学園に通うなどもってのほか。だから、この三人は学園がどのような場所であるかを知らない。
そうやって大勢の人と接していれば、ラティアーナの心も少しは華やいだのだろうか。
きっとサディアスとキンバリーの関係とも異なるのだろう。サディアスはいつだってキンバリーの予備なのだ。サディアスはキンバリーのために存在している。だから今だって、キンバリーのためにアイニスから話を聞いているのだ。
もしかして彼女も、彼女の兄のために存在しているのだろうか。
「私の兄は、頭がよくて。幸いにも、父は兄を学園に通わせておりましたので、兄はそこでもよい成績をおさめていたのです」
レオンクル王国の王都には、貴族子女が通う王立学園がある。昔は、貴族の中でも上流の子息しか通えぬ学園であったが、時代の変化とともにその門戸を広げた。
学園の授業料が支払える者であれば貴族の子でなくとも通えるし、女子学生も受け入れている。
それでもキンバリーとサディアスは学園に通わず、この王城内で家庭教師によって知識を身に付けていたし、ラティアーナに関しては神殿と王城の往復をするくらいで外に出ることすら制限されていた。まして、学園に通うなどもってのほか。だから、この三人は学園がどのような場所であるかを知らない。
そうやって大勢の人と接していれば、ラティアーナの心も少しは華やいだのだろうか。