だから聖女はいなくなった
「ですが、サディアス様。ラティアーナとの婚約を王族側だって認めましたよね? むしろ、喜ばれたのではないですか?」
神官長の言葉は正しい。
婚約の提案をしてきたのは神殿側であるが、それを喜んで受け入れたのは王族側である。それに、この話を聞いたキンバリーは、どこか嬉しそうで恥ずかしそうにも見えた。
対等にあると言われている王族と神殿の関係だが、国を庇護する竜と聖女がいるかぎり、国は神殿に逆らえない。だが、国には金がある。その金をちらつかせることで、神殿と対等な関係を築いているのだ。
つまり力があるか、金があるか。
力があるのが神殿で、金があるのが国。それで均衡を保っている。
その関係をさらに友好的なものであると国民に見せつけるために、王太子と聖女の婚約を心から喜んだのは国王なのだ。
「ええ。神官長のおっしゃる通りです」
「別に、この神殿は神官や巫女の結婚を禁じているわけではありませんから。もちろん、聖女の結婚も許されております。王太子殿下と婚約したことで、ラティアーナが幸せであるなら、それでいいと思っておりました。ですが、現実とは非情なものですね」
その言葉に、サディアスもひくっとこめかみを震わせる。
神官長の言葉は正しい。
婚約の提案をしてきたのは神殿側であるが、それを喜んで受け入れたのは王族側である。それに、この話を聞いたキンバリーは、どこか嬉しそうで恥ずかしそうにも見えた。
対等にあると言われている王族と神殿の関係だが、国を庇護する竜と聖女がいるかぎり、国は神殿に逆らえない。だが、国には金がある。その金をちらつかせることで、神殿と対等な関係を築いているのだ。
つまり力があるか、金があるか。
力があるのが神殿で、金があるのが国。それで均衡を保っている。
その関係をさらに友好的なものであると国民に見せつけるために、王太子と聖女の婚約を心から喜んだのは国王なのだ。
「ええ。神官長のおっしゃる通りです」
「別に、この神殿は神官や巫女の結婚を禁じているわけではありませんから。もちろん、聖女の結婚も許されております。王太子殿下と婚約したことで、ラティアーナが幸せであるなら、それでいいと思っておりました。ですが、現実とは非情なものですね」
その言葉に、サディアスもひくっとこめかみを震わせる。