だから聖女はいなくなった
「お恥ずかしいことに、以前に寄付していただいた物が不足し始めておりまして……」

 彼女はサディアスから目をそむける。

「それは、どういった意味でしょう?」

 先ほどから彼女はこんな感じだ。言葉を濁して、言いたいことを察しろと言わんばかりの表現。

「できれば、もう少し寄付をいただきたいと思いまして……」

 それでもマザー長は視線を合わせようとはしない。図々しい願いであると、自覚しているのだろう。

「ですが、兄が定期的に寄付をしているはずですが?」
 そうですね、とマザー長はぽつんと呟く。

「寄付をいただいていることになっているのですが、実は……ちがうのです」
「違う? どういう意味でしょうか?」

 サディアスはおもわず前のめりになった。

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