だから聖女はいなくなった
「私たちがいただいていたのは、ラティアーナ様が直接持ってきてくださった物のみで。王族の方から寄付されていると言われている物は、いっさいもらっていないのです。ですから、できれば、その……ラティアーナ様がいろいろと用立てしてくださっていた分だけでも、せめて……と思いまして……」
もしかして、彼女はキンバリーの寄付を受け取っていないと言っているのだろうか。
「はっきりと答えてください。王太子殿下からの寄付金は受け取っていないと、そういうことなのですね?」
「は、はい……。ですが、他の方からはそういった物があるのでしょう、と言われて。もしかして、これからいただけるのかもしれない、とか。王太子殿下の顔に泥を塗ってはならないとか。そう思いまして……。いかにもいただいたかのように答えておりました」
キンバリーの仕事を手伝っていたサディアスだからわかっている。彼は間違いなく、定期的に孤児院へ寄付金を送っている。それも、子どもたちやマザーたちが食べていくには十分な額を、だ。
「わかりました。兄に……王太子殿下に相談してみます」
その言葉で、マザー長とやっと視線が合った。
もしかして、彼女はキンバリーの寄付を受け取っていないと言っているのだろうか。
「はっきりと答えてください。王太子殿下からの寄付金は受け取っていないと、そういうことなのですね?」
「は、はい……。ですが、他の方からはそういった物があるのでしょう、と言われて。もしかして、これからいただけるのかもしれない、とか。王太子殿下の顔に泥を塗ってはならないとか。そう思いまして……。いかにもいただいたかのように答えておりました」
キンバリーの仕事を手伝っていたサディアスだからわかっている。彼は間違いなく、定期的に孤児院へ寄付金を送っている。それも、子どもたちやマザーたちが食べていくには十分な額を、だ。
「わかりました。兄に……王太子殿下に相談してみます」
その言葉で、マザー長とやっと視線が合った。