ごじうおん
それに従うと、数秒後に近所の婆が俺を押しのけて、慌ててそれを取りに来た。

口うるさい婆だから、もし拾っていたらネコババとか因縁つけただろう。
だが、やはり手に届く範囲にあった小銭を逃がしたのは損をしたような気分にもなる。

プラマイゼロ。まさにそれだ。


だが、波風立てて生きるのが嫌いな性分の俺は、そのカンペの指示に従うことが多かった。

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