ごじうおん
言った私自身も、「スカンジナビア」とは何かが説明できない。
いや、何故にこの単語が私の脳に記憶されたかも定かではない。

「う~ん……なんかアタマに浮かんだから。」と歯切れの悪い返事を返すと、友達は更に首を傾げる。
「なーんか、単語聞いたことあるんだけどなぁ。どこで聞いたっけ?」
「……国語便覧とか?」
「っぽいね。プロレタリアとかの仲間?ちょっと確認してよ。」
「えー?便覧思いから机の中に入れっぱだよ。」

分厚い国語便覧は、難しそうな文学用語が羅列しているイメージしかなかった。

掲載された通常の会話ではおおよそ使わない単語は、まるで異国の呪文のようだと常日頃思っていた。
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