秘密の彼氏は、私にだけ甘すぎる
1 : 秘密の彼氏
私と同じクラスの長嶺 翔也くんは、いわゆるイケメンでモテる男の子。
……あ。
学校の昼休み。私が1階の廊下を歩いていると、窓から長嶺くんが中庭で女の子と向かい合って立っているのが見えた。
足を止め、その様子をドキドキしながら見てしまう私。
「あのっ! あたし、翔也くんのことが好きです」
「……無理」
告白してきた女の子のことを、長嶺くんは無表情でバッサリと振った。
今は10月だけど、まるで長嶺くんの周りだけ吹雪いているかのような。そんな冷たい雰囲気が漂っている。
「悪いけど俺、好きな子いるから。つーか、俺と君は友達でもないんだから。俺のこと、勝手に翔也って呼ばないでくれる?」
「ご、ごめんなさ……」
うわ。長嶺くん、相変わらずだなぁ。
ていうかあの女の子、涙目になってるよ。
振られた女の子のことを少し気の毒に思いながらも内心ホッとした私は、ある場所へと向かう。
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