秘密の彼氏は、私にだけ甘すぎる


「うーん。俺は理帆とのこの関係を、誰にも邪魔されたくないっていうか」


翔也が、首の後ろに手を当てる。


あ……。


これは、翔也が嘘をつくときによくやる癖だ。1年近く一緒にいると、そういう癖にもさすがに気づいてしまう。


「俺は可愛い理帆のこと、ずっとこうして独り占めしてたいんだけど……ダメ?」


う。可愛く首を傾げて、困ったような顔をする翔也……ズルい。


「もう……しょうがないなあ」


結局私は、そんな翔也にいつも負けてしまう。


「ありがとう。理帆」


翔也に耳にチュッとキスされ、甘い感触に肩が揺れる。


彼がどうして交際を秘密にしたがるのかは、分からないけれど。

翔也の私への愛は、きっと本物だって分かるから。


1年間、こうして好きな人と変わらずお付き合いを続けていられることが、奇跡なんだって思わなくちゃいけないよね。

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