秘密の彼氏は、私にだけ甘すぎる
2 : 彼女宣言!?
「長嶺くーん」
学校の休み時間。自分の席に座って読書している翔也を、派手な女子数人が囲む。
その様子を私は、翔也の隣の席で見ていた。
高校1年のときは翔也と別々のクラスだったけど、高校2年では運良く同じクラスになれた。
そして先日の席替えで、偶然隣の席になった私たち。
翔也と隣の席になれて、最初は喜んでいた私だけど。
休み時間のたびに女の子に囲まれている翔也がすぐ目についてしまって、内心穏やかではない。
「ねぇ、長嶺くん何の本読んでるの?」
「……夏目漱石」
「へぇー。面白い?」
「面白くなかったら、そもそも読まない」
視線は文庫本へと真っ直ぐ向けたまま。
自分に話しかけている金髪女子・木村さんのほうを一切見ずに、冷たく淡々と答える翔也。
「ねぇ。本ばっか見てないで、長嶺くんあたしのほうも見てよ」
すると文庫本を読んでいた翔也の手を取り、強引に繋ぐ彼女。
「長嶺くんの手、やっぱ大きいー♡」
ちょ、ちょっと。木村さん、何やってるの!? しかも、こっ、恋人繋ぎだし!!
目の前で彼氏の手を他の女子に繋がれてしまい、胸のモヤモヤが最高潮に達した私は思わず席から立ち上がってしまう。