秘密の彼氏は、私にだけ甘すぎる
「これなんだけど」
「ああ、これかぁ」
翔也と隣り合わせで問題集をのぞいていると、腕と腕がかすかに触れた。
「ごっ、ごめん」
「ううん。えっと、この解き方だけど……」
私は数学を教えてもらいながら、翔也の端正な横顔をこっそり見つめる。
翔也は勉強も熱心に教えてくれて。私の質問にも、嫌な顔ひとつせず丁寧に答えてくれる。
それから勉強中にも飴をくれたりと、私を適度に甘やかしてくれて。
かっこよくて優しくて。ほんと、私にはもったいないくらいの彼氏だよ。
「翔也、いつもありがとう。大好き」
私は、翔也の唇にそっとキスをする。
「どうしたの? 理帆からキスしてくれるなんて珍しい」
「なんか急に、翔也に感謝を伝えたくなったの」
「そっか。こちらこそいつもありがとうだよ」
愛おしげに目を細め、翔也も私にキスを返してくれる。
「やばい。理帆に一度キスしたら、もっとしたくなってきた」
翔也の唇が移動し、私の額、まぶた、目尻、頬と、沢山のキスが落とされていく。
「ん……っ」
翔也にギュッと抱きしめられ、甘えるように頬がすり寄せられる。
「ねぇ、翔也。くすぐったいよ」
「もう少しだけ、こうさせて」
「うん……」
「理帆、大好き」
勉強中だということも忘れ、それからしばらく翔也との甘い時間が続いた。