秘密の彼氏は、私にだけ甘すぎる


私に合わせるようにして、翔也はゆっくりと歩きだす。


「ねぇ、翔也。今日はどこに行くの?」

「それは、内緒」


昨日の夜にも翔也に電話でどこに行くか聞いたけど、教えてくれなかったんだよね。


待ち合わせた駅から翔也と二人で30分ほど電車に乗って、降りた駅から更に歩くこと15分。


「ここだよ」


翔也に連れられてやって来たのは、海の近くにあるオシャレなカフェだった。


「えっ、ここって……」

「うん。理帆、いつか来たいって言ってたでしょ?」

「翔也、覚えててくれたんだ」


果耶から海辺に新しくできたこのカフェの話を聞いてから、ずっと行ってみたいって思ってたけど。

まさか今日、翔也と一緒に来られるなんて。



「いらっしゃいませー」


翔也と並んで店に入ると、可愛らしい店員さんが笑顔を向けてくれる。


「すいません。予約していた長嶺ですが」

「長嶺様ですね。お席にご案内致します」


うそ。翔也、予約していてくれたの?!


「こちらになります」


店員さんに案内されたのは、窓際にあるカップルシート。


「うわぁ。きれーい」


座席の目の前の大きな窓からは青い海と空が見え、美しい景色に私は思わず感嘆の声をあげる。

< 29 / 66 >

この作品をシェア

pagetop