秘密の彼氏は、私にだけ甘すぎる
私に合わせるようにして、翔也はゆっくりと歩きだす。
「ねぇ、翔也。今日はどこに行くの?」
「それは、内緒」
昨日の夜にも翔也に電話でどこに行くか聞いたけど、教えてくれなかったんだよね。
待ち合わせた駅から翔也と二人で30分ほど電車に乗って、降りた駅から更に歩くこと15分。
「ここだよ」
翔也に連れられてやって来たのは、海の近くにあるオシャレなカフェだった。
「えっ、ここって……」
「うん。理帆、いつか来たいって言ってたでしょ?」
「翔也、覚えててくれたんだ」
果耶から海辺に新しくできたこのカフェの話を聞いてから、ずっと行ってみたいって思ってたけど。
まさか今日、翔也と一緒に来られるなんて。
「いらっしゃいませー」
翔也と並んで店に入ると、可愛らしい店員さんが笑顔を向けてくれる。
「すいません。予約していた長嶺ですが」
「長嶺様ですね。お席にご案内致します」
うそ。翔也、予約していてくれたの?!
「こちらになります」
店員さんに案内されたのは、窓際にあるカップルシート。
「うわぁ。きれーい」
座席の目の前の大きな窓からは青い海と空が見え、美しい景色に私は思わず感嘆の声をあげる。