秘密の彼氏は、私にだけ甘すぎる


デザートを食べ終えた私たちは、カフェを出て近くをブラブラする。

海のそばだからか、歩いてると潮の香りがする。


「さっきのカフェのメニュー、どれも本当に美味しかった。連れてきてくれてありがとう」

「ああ。またいつか二人で来ような」


翔也と話しながら、私が彼の少し後ろを歩いていると、前方から男の人が二人歩いてくる。


「うわ、あの女の子めっちゃ可愛くね?」

「ほんとだ、可愛い」


前から歩いてきた大学生くらいの男の人たちのそんな会話が、すれ違いざまに聞こえた。


ん? 可愛いって、誰のことなんだろう。


すると、不意に手を取られて指を絡めるようにギュッと握られる。


「えっ。しょ、翔也?」

「……ったく。あいつら、人の彼女に見とれてんじゃねぇよ。理帆は俺のだっての」


翔也の言葉に、心臓が大きく音を立てる。


どうしよう。嬉しい。

しかも、今日のデートで翔也が初めて私の手を繋いでくれた。

交際を秘密にしていたい翔也は、今まで外ではほとんど手を繋いでくれなかったから。


「理帆。今日はこのまま、手繋いでようか」

「うん」

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