秘密の彼氏は、私にだけ甘すぎる
どうして翔也は、こんなにも私とのことを隠したいのだろう。
やっぱり、私が可愛くないから?
私が彼女だって皆に言うのが、恥ずかしいから?
翔也はかっこよくて、成績優秀で。サッカー部のエースで、学年一モテる男の子だもん。
そんな彼と平凡な私じゃ、明らかに釣り合ってないし。
「ははっ……」
自分で思いながらも悲しくなって、涙がつっと頬を伝い落ちる。
「……ぐすっ」
もしも私が、翔也にとって周りに自慢できるような彼女だったら……いつもコソコソと隠れるようにして会ったりすることもなかったのだろうか。
堂々と “ 理帆は俺の彼女 ” だって、言ってもらえたのかな。
雨足は弱まるどころか、どんどん強くなる。
いくら翔也に、ハグやキスをされても。
何度、好きだと言ってもらえたとしても。
付き合って1年経っても「俺たち付き合ってる」って未だに言ってもらえないんじゃ、彼女としてはやっぱり不安になるよ。