秘密の彼氏は、私にだけ甘すぎる
4 : 意外な一面
翌朝。
「おはよう、理帆……って、どうしたの!? 目、なんか腫れてない!?」
登校してきた私を見て、果耶が目を丸くする。
「ああ。昨日ちょっと余命ものの映画観て、号泣しちゃって」
「そうなの? それなら良いけど。何かあったのかと思って心配しちゃった」
「ごめんね、ありがとう」
果耶に、嘘をついてしまった。
「そうだ理帆。昨日の月9、観た?」
果耶と話していると、しばらくして翔也が教室に入ってきた。
「長嶺くーん」
「翔也くん、おはよ〜!」
「……はよ」
教室に入るなり、さっそく数人の女の子に囲まれる翔也。
相変わらず無表情だし、少し前に彼女の存在を明かした翔也だけど、彼の人気は全く衰えることなく今日も健在だ。
他の女の子と一緒にいる翔也を見ていると、胸の辺りがモヤモヤするなんて。
昨日あんなことがあったというのに、自分は彼のことが変わらず好きなのだと痛感させられる。
「あっ! おはよう、長嶺くん」
「ああ、おはよ……っ!」
果耶に声をかけられた翔也が挨拶を返し、次に私を見た瞬間大きく目を見開く。
「白井さん、その目って……俺のせい、だよね」
「……」
翔也の顔を見ることなく、私は席を立つ。
「ごめん、果耶。私ちょっとお手洗いに」
それだけ言うと、早足で私は教室を出る。