秘密の彼氏は、私にだけ甘すぎる


「俺、この前見たんだよ。ミネとこの女が、手を繋いで一緒に歩いてるところ」

「へぇ。この女が、あいつの……」


銀髪男がぐっとこちらに顔を近づけ、私を上から下まで舐めまわすように見てくる。

き、気持ち悪い。


「そういや、あいつと同じ学校に行ってるダチが言ってたな。最近、ミネに女ができたらしいって」


もう一人の坊主頭のいかつい男も、口にする。


何? この人たち。さっきから何度もミネ、ミネって。一体、誰のこと?!

私に不良の知り合いなんていないのに……。


「そうか。こいつがあのミネの女だと思うと、(はらわた)が煮えくり返りそうになるわ」

「……痛っ」


私の腕を掴む銀髪男の手の力が一層強くなり、私は顔をしかめる。


「おい、お前。ちょっとこっち来い」

「嫌っ!」


連れて行かれまいと必死に抵抗するも、銀髪とオレンジ頭の男に今度は両脇から腕を掴まれ、サッと血の気が引く。


「離してよ! だっ、誰か……んん」


助けを呼ぼうと私は大声を出そうとしたが、口も塞がれてしまった。

その拍子に、私の手にあった買い物袋が地面に落ちる。


「いいから。さっさと、おとなしくついて来いって」


私は、薄暗い路地裏へと引っ張り込まれる。


やだ、怖い……。


どうしよう……! 誰か──!!

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