秘密の彼氏は、私にだけ甘すぎる
5 : 俺の過去〜翔也side〜
俺の両親は、俺が3歳の頃に離婚した。
それ以来、母が女手一つで俺のことを育ててくれた。
暮らしは決して裕福ではなかったが、俺には料理上手で優しい母親がいてくれたし。
幼稚園の頃に始めた大好きなサッカーがあったから、俺はそれだけで十分幸せだった。
だが、俺が小学校に入学する頃、母親が再婚した。
「翔也。こちら、長嶺さん。あなたの新しいお父さんよ」
「初めまして、翔也くん」
母の再婚相手の長嶺さんは大手不動産会社の社長で、所謂お金持ちだった。
今まで暮らしていたアパートから豪邸へと引っ越し、小学校も公立から私立の学校へと転校させられた。
子供がいなかった長嶺さんは『君が俺の後継者だ』と、俺に期待していたらしい。
彼は口を開けばいつも俺に『勉強しなさい』と言い、教養を身につけるためだと、英会話をはじめ、やりたくもない習い事を沢山させられた。
嫌だったけど、俺が頑張ると母さんが喜んでくれたし、何より俺には大好きなサッカーがあったから頑張れた。
だが、それから3年後。
俺を取り巻く環境は、一変する。