碧色日和
 もし聖女の力が出がらしでなければ浄化し助けられた命でした。

 力がないこと、そして自分が魔王討伐で見返したいという、『どこかの物語の世界にきたんだからなんとかなるはず』という甘い考えだったリッカを叱咤し、現実だと再認識し、責任の意味を知るための彼でした。
 主導者が浅はかだと、犠牲は下の者にいくんです。

 主は自分では選べない。部下は選べるのにね。
 リッカはいい主人ではなかった、だけどこの彼の死で、ちゃんと地に足を付けて彼らのために現実を見ることを誓います。
 
 そしてそんな犠牲になってしまった彼の恋人は、そんなリッカを恨むことなく「騎士だから」と気丈に振る舞い最後まで騎士団に残る選択をしました。

 そんな彼女も、魔獣にやられ倒れます。
 しかしもう誰も失いたくないとリッカの想いが軌跡を起こし、一時的に彼女の意識が回復。

 けれど彼女の体力も気力も続かず、彼女の最期の願いである死んだ恋人の遺灰を飲み込んで、体内で一緒になり息を引き取ります。
 ここが私のカニバリズムポイントでした。
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