音のない「好き」
歩く雪の目の前がぼやけていく。もっと早く振られていれば、こんなにも胸は痛まなかったのではないかと考えてしまう。あまりにも最低な終わり方だ。だが、それを本人にぶつけることはもうできない。
「ハァ……」
吐き出したため息は、仕事帰りの人々の足音などで一瞬にしてかき消されてしまう。明日は祝日のためか、多くの人の足はどこか浮き足立っていた。
「もしもし、まーくん?明日の集合時間って十時でよかったっけ?」
雪の近くで、幸せそうに頰を赤く染めながら可愛らしい女性が電話をしている。十中八九電話相手は恋人だろう。
その姿を見るだけで、雪の中に虚しさが込み上げてくる。つい昨日までは、自分も恋人のことを考えるだけであんな表情を見せていたのだ。
(こうなったら今日は、大量にお酒を買って飲むしかない……)
「ハァ……」
吐き出したため息は、仕事帰りの人々の足音などで一瞬にしてかき消されてしまう。明日は祝日のためか、多くの人の足はどこか浮き足立っていた。
「もしもし、まーくん?明日の集合時間って十時でよかったっけ?」
雪の近くで、幸せそうに頰を赤く染めながら可愛らしい女性が電話をしている。十中八九電話相手は恋人だろう。
その姿を見るだけで、雪の中に虚しさが込み上げてくる。つい昨日までは、自分も恋人のことを考えるだけであんな表情を見せていたのだ。
(こうなったら今日は、大量にお酒を買って飲むしかない……)