出戻り令嬢は、初恋執事に愛されたい。


 それから、自室に戻ったけどやることがなさすぎてボーっとして過ごしているとノック音がして千隼が入って来た。


「お茶はいかがですか? そろそろ、喉が渇いて来た頃だと思いお持ちしたのですが」

「あ、そうね。いただくわ」


 せっかく準備してくれたのに淡白な言い方になってしまって俯くと、目の前には香りのいい紅茶が置かれた。
 ティーカップを持ち一口飲むと、とても美味しくて懐かしい味がした。


「千隼の紅茶は一番美味しいわ」

「ありがとうございます」

「世界一だと思うもの!」


 彼の紅茶は中学生の頃から飲んでいるけど、いつ飲んでも美味しいし香りもいいという完璧だ。


「そう言っていただけて光栄でございます」


 微笑む顔と仕草がカッコよくて、一人キュンキュンしてあの頃と同じ蓋をしていたはずの気持ちが溢れてしまいそうで私は目を逸らして愛想悪く「下がっていいわ」と告げた。





 





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