出戻り令嬢は、初恋執事に愛されたい。
縁談と恋心
出戻って一ヵ月。
私は、のほほんと過ごしていた。
「……縁談?」
「はい。こちらが釣書となります」
花山院家の専属執事であり、父の秘書でもある男は突然やって来て『縁談話』を持ちかけた。
「後妻に入れと言うの?」
「私に言われても困ります。見合いの日程は明後日となりますのでよろしくお願いします」
「……っ……」
執事は淡々と言い、出て行った。
「お嬢様……」
千隼の呼ぶ声が聞こえたけど、私は無視して部屋へと戻った。