出戻り令嬢は、初恋執事に愛されたい。
千隼は、今まで言えずにいた自分のことを話し出した。本当は、津崎貿易の御曹司だということと自分は三男だから継ぐものもないこと。津崎家の伝統で花山院家の執事として働いていたことを話し出した。
本当は、若瀬家が縁談を持ってくる前に持ちかけるつもりだったのだが先を越されてしまい今の身分ではどうにも出来なかったことを教えてくれた。
「それなら、気持ちを気持ちだけでも伝えてくれれば」
「それも、考えたんだが気持ちを告げたら欲が出る。君を攫ってしまいそうだから」
「……っ……」
今まで感じたこと無かった熱い視線に目を逸らしたくなる。だけど、何故かそらせない。
「……父が、まさか結琉様の縁談相手になるとか予想外だったから急いで花山院の使用人を辞めて津崎に戻った。それで今に至るんだよね」