出戻り令嬢は、初恋執事に愛されたい。
千隼は挨拶をすると、この部屋の中を案内した。結構広くて彼の部屋も私と同じくらい広い。その後は、彼の作ったご飯を食べた。帰ってきてから初めての温かいご飯でとても嬉しかった。
「お口に合いますか?」
「えぇ、まぁ……そうね。なかなかだわ」
とても美味しいのに、冷たい言い方になってしまったわ。これじゃあ、一年前と変わらないじゃない。
「どうかしました?」
「なんでもないわ!」
千隼は心配そうに顔を覗き込む。相変わらず顔面偏差値が高い。それに笑った時のえくぼが可愛いし、やっぱり……私は。
「……私は部屋で休むわ」
「そうですか、かしこまりました」
私は答えないままリビングを出て、部屋に戻った。