出戻り令嬢は、初恋執事に愛されたい。
部屋に入って私はベッドにダイブする。ベッドに顔を埋め、足をバタつかせて唸る。
「あ〜もう! なんで素直になれないんだろう……だけど、千隼は変わんなかったなぁ」
ため息を吐きながら、私は千隼のことを考え始めた。彼はどう思ってるのかわからないが、私は……千隼が好きだ。
初めて会ったのは、中学生の時だ。花山院家に昔から代々支える家の子息だった彼は、大学卒業するとすぐにうちで働き始めて二年で私の執事になった。
年上で優しくて、カッコよくて、学校の男子より大人で今思えば初対面で一目惚れしたんだと思う。私にとって、初恋だ。
最初は、私も千隼に対して素直だったと思う。でも、立場上一緒にはなれないこともわかっていたし、真面目な千隼が私の想いに応えてくれる保証はない……だから私は、彼に嫌われるように素っ気ない態度を取るようになった。
「……けど、あれはないでしょ……わたし」