最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!
 とりあえずザッと動きを見る限り梶くん以外にヴァンパイアはいないみたい。
 そう判断した私は他の男の人たちを先に仕留めて行った。

「ははっ、やるねぇのんちゃん」

 立っているのが私と梶くんだけになってから、彼は楽しそうに声を上げる。
 男たちがやられても余裕の表情で、しかも彼らを手助けしようともしなかった。

 もしかしたら杏くんを人質にして大人しくしろとか言われるかもと警戒してたのに、それもなかったし。
 余裕の笑みを浮かべてただ見ているだけとか……結局はただの協力者ってことなのかな?

「でもどうやってここに来たのかな? 杏くんのスマホは電源切っておいたし、GPSは使えないはずなんだけど?」
「それを教える義理はないよね?」

 答えながら、やっぱりお母さんの言う通り電源は切られてたんだなって思った。

「確かにそっか。でもまた君一人だけ? さっき俺にかなわなかったこと、忘れちゃった?」
「……」
「あ、それともやっぱり【朧夜】に来る気になった?」
「そんなことある訳ないよね?」

 ふざけた調子でふざけたことを口にするから、さすがに無言ではいられなくなる。
 でも冷静さは失わない。
 梶くんから視線を外さず、周囲にも意識を配った。
 周囲に倒れている男たちは確実に急所をついたから、しばらくはまともに動けない。

 梶くんはそんな周りを見回してまた面白そうに笑った。
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