最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!
 私から距離を取ると、梶くんはミルクティー色の前髪をかき上げニヤリと笑った。

「へぇ……確かに強気なことを言うだけはあるね」
「……行くよ」

 私は無駄話はいらないとばかりに一言だけ告げて、猛攻(もうこう)を開始する。
 クロちゃんを突き、払い、打つ。
 次の動作へのロスが少ないのを利用して、梶くんのスキを突いて攻め立てる。
 梶くんは避けるのがやっとみたいで、余裕の表情がくずれた。

「くっ! このっ!」
「杏くんは返してもらうよ!」

 宣言をして、私は最後に梶くんの背後に回り込み、回転の力も利用してその背中を打つ。

「ぐはっ!」

 うめいてひざをついた梶くんはしばらく動けないはず。
 その間に私は杏くんのもとへ向かった。

「杏くん! 大丈夫?」

 口に貼られたガムテープを一気にはがし、手の拘束を解きながら聞く。

「ちょっ、もうちょっと優しくはがしてくんねぇ? ヒリヒリするんだけど」
「少しずつの方が痛いでしょ?」

 文句を言うくらいには元気みたいだから大丈夫かな?
 拘束されていたから少し痛そうに体をほぐしていたけれど、普通に立ち上がれたし問題はなさそう。
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